2009年01月12日

100年に一度の金融危機から資産を守る方法/諸岡実磨

100年に一度の金融危機と言われる今、資産の保全は万全ですか?
私はと言えば、特に資産らしい資産もないので。守ると言えば、雇用くらいのものですが、それも風前の灯……

『100年に一度の金融危機から資産を守る方法』

さて、この真の書名は……

『仕手市場アメリカから資産を守る方法』

これは久々に衝撃的な内容でした。結論としては、未だ底入れとは確認できないものの株式が反転急上昇するのは間近であり、それに乗ることこそが資産を増大させるチャンスとなる、というものですが、そのことよりも今回の金融危機の本質が金融プロの立場から語られているということに興味を覚えました。
さてその内容に軽く踏み込んでみましょうか。

現在のアメリカにはこれといった産業がないというのです。GDPに占める製造業の割合はわずか12%で(自動車産業のみなら0.8%)、アメリカの産業別GDP構成比を見ると、金融・保険・リース・不動産』が圧倒的な20%にまで達しているそうです。これって異常だと思いませんか?

産業構造の転換を余儀なくされたのは1980年代のレーガン政権時でした。輸出で外貨を稼ぐという国際競争力を取り戻すべく、

80年代初頭に20%という高金利政策を断行してインフレを抑制したり、
85年プラザ合意でドルを切り下げて輸出力の復活を試みたり、
88年スーパー301条の発動で日本の輸出競争力を殺ごうとも試みた

のですけれど、結局レーガノミックスは財政赤字・貿易赤字を積み上げただけの失敗に終わってしまいます。
その一方、金融分野においては技術革新が起こり、デリバティブズが発明されました。これがアメリカ金融立国台頭の礎となったのです。その立役者は当然グリーンスパンですね。

87年、グリーンスパンはレーガンによりFRB議長に指名され、就任2ヵ月後に直面したブラックマンデーでは
「FRBは流動性を提供する準備ができている」
という短い声明を出して、わずか1日で収拾させました。

93年、クリントンはゴールドマンサックス会長であったロバート・ルービンを経済政策担当大統領補佐官に就任させ、95年には財務長官に就任させます。
このことはアメリカの原動力がもはや製造業ではなく、金融業であることを内外に宣言する象徴的な出来事であり、金融立国を目指し本格的な政策運営を始めたことを指すのです。

同年ドル高政策により、流出していたドルがアメリカの株式市場へ流入するようになり株高を演出します。
この頃から投資銀行が幅を利かせるようになり、多数のヘッジファンドが設立、様々なデリバティブ商品が投資家たちに莫大な資産を築かせることを可能にし、それがさらにドル資金をアメリカに汲み上げるポンプの役割を果たすこととなり、金融バブルが加速してゆくのです。
アメリカは国家規模で仕手戦を仕掛け、政府が用意した賭場に客を招いて、予定通りに儲かるように様々な仕掛けを施したといえます。結果、ドルはアメリカ国内で潤沢に循環し、不動産の価値も上がり始めます……

ちなみに、アメリカのアフガニスタン侵攻、イラク侵攻も金融立国としての国力を維持するためだったというのです。
原油取引にユーロ決済を認めさせようと画策したフセイン大統領が邪魔になったというわけです。

さて今回の金融危機はサブプライムローンが元凶だと一般的には見なされていますが、もしローン返済者の返済不能が問題だというならば、担保物件を競売にかけるだけで済むはずであり、融資を行った金融機関の経営が悪化するだけに留まるはずなのです。
実はアメリカの作り上げた金融モデル『デリバティブズ』『高レバレッジ』という商品特性こそが元凶なのです。

サブプライムが作られた背景をご紹介しましょう。
70年代、マイケル・ミルケンは、ハイリターンであってもハイリスクでしかないジャンク債を大量に集めてパッケージ化し、それを小分けにして証券化することでリスクを分散できることを発見しました。
つまり、経済が成長している限り、ローリスクハイリターンな投資を可能にしたわけです。

この手法の開発によって、銀行は信用度の低い融資先への債券をまとめてパッケージ化し、さらにそれを小口証券化商品として販売するようになります。つまり、銀行は信用度の低い取引先への融資をためらう必要がなくなり、融資をどんどん膨らませてゆくことになるのです。
だんだんと今回の真相が見えてきましたね!

このような背景のもと、不動産は1年間で数%の資産価値の上昇が続いていました。サブプライムの登場です。
サブプライムローンは購入者ではなく住宅そのものにかけられたローンであり、不動産価値が上昇している間は魅力のある金融商品に置き換えることができました。こうして先に述べたリスク軽減策を施して債券化された商品は、様々なデリバティブズやオプションの一部に組み込まれてパッケージ化されて販売されたのです。

このようなデリバティブズ市場は98年当時には30兆ドルでしたが、07年6月時点で370兆ドルにまで拡大しています。これは世界のGDP44兆ドルの8.4倍にも匹敵する額です!もうパンパンに膨らませられた風船状態といえそうですね。

そして破裂しました。

この発端がサブプライムローンを組んだ低所得者たちが一斉に住宅を手離したことだったのです。
つまり、問題は住宅ローンだけではなく、
ハイリスクな投資先であったものが実態が掴めないほど分散化された上に、
効率を高めるためにレバレッジを最大化させた商品が大量に出回ってしまっている
ことです。

経済が悪化してしまった現在では、どの債券で突然評価損が拡がり、レバレッジの逆効果で倍増した大損失が噴出するか誰にも分からなくなってしまっているのです。恐ろしい〜

『100年に一度の金融危機から資産を守る方法』

さて、この真の書名は……

『仕手市場アメリカから資産を守る方法』

この本で金融リテラシーが向上するわけではありませんが、無知な投資家でいるよりはこの本を熟読することをお奨めします。お奨め星★☆★☆★5つです!
posted by たかC at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 株式投資本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/112484311

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。